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心と頭が変わるとプレーが変わる!

人生を豊かにする
GKスキル

戦術やトレーニングメニューなど、GKに関する知識は書籍やインターネットで簡単に調べることができます。しかし、果敢なシュートストップや勢いのある飛び出しなど、積極的なプレーのコツ。より上達するためのトレーニングに対する心構えなど、GKの心と頭に深く関わる知識を見つけるのは難しいのではないでしょうか。

そこで、育成年代からJリーグのトップカテゴリーまで。全てのカテゴリーでGKコーチの経験がある、GK育成のスペシャリストである澤村氏が、自身の経験をもとに選手のスキルアップにつながる知識をお伝えしていきます。そして、本コラムを通して、選手の人生までもが豊かになることを目指していきます。

第7回目は、GKの成長に大きく関わる、失点やミスから学ぶ大切さについてご紹介します。

【第7回】

失点やミスを成長の糧にする。



必要以上に気にすると
停滞してしまう。

トレーニング中に「ミスしないように」といった、GKへのコーチングを耳にすることがあります。しかし、“ミスから学ぶ”という言葉があるように、失点やそれにつながるミスをポジティブにとらえることも必要だと私は考えています。失点やミスばかりを気にしすぎてしまうと、チャレンジをしない積極性に欠けた無難なプレーを引き起こします。それはプロ選手も例外ではありません。

一方、ジュニア世代など、GKをやり始めた選手は、失点やミスなど気にせず全力でプレーをする傾向にあります。上達したいという気持ちを前面に出し、様々なプレーにチャレンジしながら、ぐんぐん成長していくのです。ではなぜ、年齢や経験を重ねるにしたがって、失点やミスを気にするようになってしまうのか。その原因のひとつが、自分がこれまで積み上げてきた実績にあります。

レギュラーの座を掴む、トレセンに選ばれるなど実績を残すことで、今いる自分の地位を守りたいという気持ちが強くなり、必要以上に失点やミスを恐れるようになってしまうのです。日本代表に選ばれるような優秀な選手でも、このような状態に陥り、消極的なプレーが目立つ時期があったりするのです。この壁を乗り越えられるかが、その後の成長に大きく関わってきます。

どのようにして、
成長の糧にするか。

失点やミスをしないようにと無難なプレーに陥ってしまう時は、何かしらのきっかけがあるはずです。“キャッチングをエラーして失点した”、“判断を誤りゲームの流れが悪くなった”など。自分のプレーに責任を感じ、次からは気をつけようという意識が強くなりすぎると、プレーに悪影響をおよぼしてしまうのです。

本来であればゲーム中に起こったことに対して、何が悪かったのかを学び、改善していけばよいだけなのです。もちろん、ミスや失点と向き合うことは勇気が必要。指導者や仲間に「さっきのシーンはどうすれば防げたのか?」とアドバイスを求めることは、心のハードルが高いかもしれません。それでも失点やミスから学ぶ姿勢は、さらなる成長のために大切なこと。これはサッカーだけでなく、人生にも通じるのではないでしょうか。

自分のミスに対して「何やってんだよ」、「キャッチしろ」と仲間に言われることがあるかもしれません。それはその時の出来事として素直に受け止め、次はどう防ぐかのトレーニングに取り組んでください。必要以上に仲間の言葉を引きずってしまう、反論して意見を聞かないといったことは、成長の邪魔になるだけです。

自分が停滞して
いると感じたら。

自分のパフォーマンスによってチームが勝利している時は、良い流れでプレーができると思います。そこから一転、自分のせいで負けてしまった、勝てたはずのゲームを引き分けた。そんなマイナスイメージでゲームを終えてしまうと、段々とミスを避けるようなプレーになっていきます。

消極的なプレーによって、今までできたことが上手くできないといった、マイナス現象が起こる場合もあります。私自身、このような停滞した選手を指導した経験があります。そうしたGKに対して、過去のプレーと比べて「昔だったら今のシュート止められたぞ」など、声をかけながら気合を入れていました。しかし、そういったコーチングは間違いだったと気づいたのです。

過去のプレーばかり振り返っていると、気持ちが後ろ向きになっていきます。すると、さらに消極的なプレーになってしまうことも。例え停滞していると感じても、ここが成長のターニングポイントととらえ、前向きにトレーニングに取り組むのです。その積み重ねによって、大きな壁を乗り越えていけるのです。

プロとして戦い抜く
ために大切なこと。


ロアッソ熊本のゴールを守る内山圭選手は、足元の技量が認められ、2020年シーズンからレギュラーに定着しました。川崎フロンターレのジュニア時代に彼を指導していたのですが、ロアッソ熊本のトップチームで再び一緒のチームになったのです。

レギュラーになる前の内山選手は「なぜ、自分はレギュラーになれないのか」と、その理由を考えすぎていたように思います。過去のプレーを必要以上に振り返り、精神的に自分を追い込んでいました。その後、レギュラーの座を掴んでからは、過去は過去と割り切って、次のゲームに向けてポジティブに良い準備ができる選手へと成長。前を向いて、2020シーズンを戦っていたのがとても印象的でした。

-を+に変えて
いくために。

失点とは-(マイナス)の出来事になりますが、勇気を持って行動することで縦線を入れて、+(プラス)に変えることができます。この縦線になるものこそ、失点やミスから学ぶことにほかなりません。「シュートを受ける時にポジションのずれがあった」、「仲間に声をかけておけばよかった」、「上手くジャンプできたら触れた」など。失点やミスによる気づきをトレーニングで改善し、大きく成長していきましょう。

本コラムのまとめ。

  1. 失点やミスを気にしすぎると
    停滞する
  2. 次にどう防ぐかを考えればよい
  3. 停滞こそ成長のチャンス
  4. -を+に変える取り組みをする

次回、第8回は 2021年3月3日(水)
掲載予定です。

企画・構成・文章/佐々木 貴智

プロフィール

澤村公康コーチ

澤村 公康 / ゴーリースキーム代表

青山学院大学 GKアドバイザー
専修大学 GKアドバイザー

【指導歴】
1995年 - 1997年 鳥栖フューチャーズ 育成GKコーチ
1997年 ブレイズ熊本 育成GKコーチ
1998年 - 2003年3月 大津高校 GKコーチ/JFAナショナルトレセンコーチ
2003年4月 - 2008年1月 浦和レッドダイヤモンズ育成 GKコーチ/女子日本代表 GKコーチ/JFAナショナルコーチングスタッフ
2008年2月 - 2011年 川崎フロンターレ育成 GKコーチ/青山学院大学 GKコーチ
2012年 - 2014年 浜松開誠館中学校・高等学校 GKコーチ
2003年・2013年 日本高校選抜 GKコーチ
2015年 - 2018年 ロアッソ熊本 GKコーチ
2019年 サンフレッチェ広島 GKコーチ
2020年 現職

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