連載 第6回目は「最新GKトレーニング ⇛ 日本人にあったGK指導アプローチ方法」の後編です。前編ではどのようにトレーングすべきか?GKコーチとしての在り方等をお伝えしました。後編では、日本人GKとスペインGKとの違いや、コーチとして学ぶ姿勢についてお送りします。
スペインだったらどうでしょうか?
もし私がプロクラブに行って30歳のベテランGKに「キャッチの仕方はこうだ」って言っても、「俺はもう200試合以上プロで出ているんだ、お前何言っているんだ」と取り合うこともないでしょう。素直にやるGKは若い選手だったらそうかもしれませんが、それでも一度やったら「もうわかった」となってしまいがちです。さらに高めていきたいとはならないのです。
しかし日本人は違います。「キャッチはこうやってやる。なぜならこうすることが一番正確にキャッチできるから」と話すとそれぞれが分析し、本当なのかを考え、そして素直に実行します。日本人らしさとはそういうところにあるのです。
とあるベテラン選手について「彼は良くなりますか?」と聞かれました。答えはもちろんYESです。本人がよくなりたい!と望んでいることが条件になりますが。私と一緒にトレーニングすれば確実に今よりも良いパフォーマンスが発揮できるでしょう。なぜなら頭で理解し、実行に移してもらうからです。自分で自分のミスの原因がわかり、自分で修正できるようになっていきます。
それがチームの中で絶対的存在で、「俺に何を言うんだ」というスタンスだったら難しいですが。
正しい知識を持っているGKコーチを育成しないといけないのです。自分ができていないことを突っ込まれたらどうしようと怖がっている場合ではないのです。
コーチとしてわかっていない、できていないということを認めてみる。それが悪いことではありません。GKの細かいミスをコーチ側が見抜けていないとすると一番被害を被るのは選手なのですから。
私はそのコーチを批判、攻撃したいのではなく、サポートするために日本にいるのですから、自分は学びたい!と勇気を持ってください。ずっとセットプレーでやられ続けている。以前できたことができなくなっているのに「仕方がない」では済まないですし、実際勝ち点を失っているんです。自信をなくしているのはそのGK本人です。
笑顔で「ジョアンもっと教えてよ」と言ってくる人がいますが、本当にそこから学びを深めにくる人は残念ながらほとんどいません。実際に彼らのトレーニングを見ているとミスに対する修正をかけていない。そのままトレーニング続けさせているし、例えばセービングで両手でとりにいってボールを弾いても何も言わないどころか「ナイスセーブ!」と言っています。
両手でセービングしにいくということは「キャッチできる」前提です。これが間に合わないから弾くにいくのだとしたら片手で行っていないとおかしいです。キャッチできるから両手、キャッチできないボールだから片手なのです。片手で行くということは自分の肩の長さだけ遠くに手が出せるからです。そのような視点でぜひGKのセーブを見て欲しいです。
そのような細かいミスを連発しているのにGKコーチはシュートを打ち続けている。私だったら一度止めます。「今何が起こっているの?」「何がミスだったのか?」を追求します。正しい手の出し方、体の使い方を説明しないとメニューをこなしているだけでは改善されないのです。
これからも引き続きコーチの育成に時間を割きたいと思っています。奈良にいようと東京にいようと大学にいようと私の思い、やることは一貫しています。
次回【Ⅳ-前編】メンタルコーチング「メンタルを強くする秘訣」
2022年1月18日(火)
掲載予定です。