コラム第9回目はメンタルコーチングのまとめになります。前回まではメンタルのベースやメンタル的に落ちてしまった時にどうするか、ということについてお伝えしました。今回は「ミスから何が学べるか」についてです。
日本人とスペイン人のメンタルも文化が大きく影響していると思います。ミスしてはいけない、止めないといけないとコーチが思っているからこそそれが過剰なプレッシャーになり、余計「ミスしてはいけない」を助長します。
スペイン人だったら、ミスしました。「で、だから何?」で終わりです。コーチから「ミスったな」と言われても、「はいミスです。だけど何?次は止めればいいんでしょ。」といった感じです。
日本ではミスを許さない文化になっているからこそ、ミスした後の気持ちの切り替えがかなり時間がかかるように思います。だからメンタル的に落ちてしまうわけです。頭の中を、考え方を変えてあげないといけません。
なので、私はピッチ内で「さん付け」で呼ぶのも禁止にしていますし、ミスしても大丈夫、そこから学ぶことを徹底的に伝えているのです。先輩後輩という関係がある時点で序列ができるのでミスが許されないことが助長されます。
サッカーをしている限り、誰もがミスをしますし、多くのミスから学んできた選手が今活躍している選手なのです。それが育成年代からそういう環境で育ち、ミスが少なくなっている20歳とミスを恐れてプレーしてきた30歳だったらスタートが変わります。つまりこれまでの蓄積がその選手のパフォーマンスを作っているわけです。
コーチの助けもあって13、14、15、16歳で多くのミスの中で学んできた選手はミスに対してのストレスが減ってきますよね。正しいメソッドで学び始めるのが10歳からなのか、20歳なのかでプロとして結果を出さないといけない時に、10年の蓄積は全然違いますよね。
そもそもGKはフィールドの選手とは全く違うものなので、可能な限り早く、頭の中のアプローチをする必要があるのです。
GKコーチはメンタルについてもっと勉強しないといけません。自分の感覚、経験だけに頼ってはいけないのです。一人一人が違います。彼ら一人一人を理解する力が必要になるのです。あることを伝えたいときに全く同じ伝え方では伝わらない選手がいることを理解しないといけません。
メンタル部分も一人一人がどのように成長しているか、どんな特徴を持っているか気にしないといけないのです。ラッキーなことにGKグループはチームに比べると4人〜5人と非常に小さいグループです。それがチームの監督となると対象が20人〜23人になります。そうなると人数が少ない分だけ一人一人に気を配ることのも容易ですよね。
次回【Ⅴ-まとめ】「最近気になっていること 伝えたいこと」
2022年1月28日(金)
掲載予定です。