コラム第5回目はGKのトレーニングについてお送りします。どのようにトレーニングをするべきか?コーチとして学ばなければいけないことは沢山あります。何故知識が必要なのか、学ぶことが大事なのかを理解することがGKコーチとして最も重要なことかもしれません。
どのようにトレーニングするべきか?コーチとして運動生理学、メンタルについてと学ばなければいけないことがたくさんあります。最新を追い求めることが悪いことではありませんが、基本となる型を正しくできているのかをまず問う必要があります。
もう何年も言い続けていますが、日本人は元来技術や細部に対するこだわりが文化としてある国です。それにも関わらずGKの技術だけこだわりが少ないというのは不思議な現象です。有名な選手を育てたGKコーチが来日してクリニックを行うことがありますが、「なぜそうなのですか?」とどんどん質問してみましょう。有名だから、私が言っているからではなく、「本当にそうなのか?」と疑問にもたないといけません。それは私の言っていることも同様です。
日本人に限らず、世界中誰も明確なメソッドを持っていないように見えます。メソッドが適切なのであれば一人だけではなく、その後も同じような技術レベルの選手がそのコーチから出てくるはずです。それがそうじゃないということはたまたま才能ある選手に出会ったということかもしれません。
もちろんトレーニングメニューを持っている人はたくさんいます。私は30年以上何度も間違えて、今のメソッドを作り上げてきました。なので、その選手の限界値までパフォーマンスを引き上げることができていると感じています。
育成年代は非常に重要な時期であり、ここでプロで活躍するための土台が作られるわけです。そうなると選手育成の準備がきちんとできているコーチが指導の現場に立つと言うことです。もっと言うならば一番優秀なコーチが育成年代にいるべきだと言うことです。
スペインに戻る度に他の人はどんなトレーニングや考え方でやっているんだろうと視察を続けていますが、スペインでさえトレーニングメニューをやっているだけです。どういうことかというと回数をこなしているだけで、一つの小さなミスに着目しておらず、「ナイス!ナイス!どんどんいこう!」と続けているだけなのです。
一つわかりやすい例を出すとセービングして倒れてから立ち上がる時にどういう体の使い方をすれば最も効率よく、素早く立つことができるかを生理学、解剖学の知識を使わないといけないのです。人間の体の構造上、できる動き、できない動きがあるからです。それがわかった上での体を持ち上げるパワーや瞬発力の話になってくるのです。
倒れている状態からどうやって立ち上がるのは一番効率的かを見出した人がいません。これは非常に悲しいことです。明確な理由や方法がなく、とにかく早く立てるよう意識しているだけです。メソッドであればどのように地面から立ち上がるか、そのためにはどういう体の使い方が必要かと言うことです。そうなるとどうやってセービングするのか、ダブルアクションはどうやってやるのか 全て解析していかないといけません。
特に育成年代では正しい方法、順番で教えることが絶対的に必要です。だからこそ私たちはコーチ向けに実践講座を開催し、大人に学んでもらっているわけです。
GKのことを知りたい、学びたいという方、ぜひ一緒に話をしましょう。私は日本のGKを助けるためにきているので大歓迎です。私の残りのサッカーコーチ人生は皆さんほど残っていません。なので、「あのときジョアンに聞いておけばよかった」とならないようにしてくださいね。
「全ては日本のGKのために!」本気でそう思っていなければあっという間にスペインに帰っています。地元で言葉が通じるところで、家族とも一緒に生活する方が良いわけですから。
私の使命は、自分の経験、知識全てを日本にメソッドとして浸透させて、日本がGK大国になる手助けをすることです。
なぜそこまで日本にこだわるのか?それは先ほども話ましたが、日本ほど「技術」の重要性を理解している国はないからです。
日本は技術を高めたい、技術は大事だと思っています、あくなき向上心があるのです。
次回【Ⅲ-後編】最新GKトレーニング「頭で理解し、実行する」
2022年1月14日(金)
掲載予定です。