「全ては日本のGKのために」長い年月をかけて蓄積してきた知識や経験の全てをメソッドとして浸透させ、日本がGK大国になれるよう手助けをしているジョアン。世界屈指のGKコーチからみた日本のGKについて、余すことなくお伝えするGKコーチ コラムです。
記念すべき連載 第1回目は「日本とスペイン(世界)のゴールキーパー比較 ⇛ どうすれば世界に通用するゴールキーパーになれるか!」の前編をお送りします。
これはもう日本に来てから何度も何度も聞かれた質問です(笑)その質問が出てくる背景には日本人は身体的にも劣っているし、GKで活躍するのは難しいんじゃないかという考え方が入っているように感じます。
そこから変えていきましょう。なぜなら私はすでに日本のGKはヨーロッパと遜色ないレベルになれると考えているからです。なぜ私がスペインではなく8年以上も日本でコーチをしているのか?日本人の可能性、ポテンシャルの高さに驚き、必ず日本から世界レベルのGKが出てくると信じているからです。そう思っていなかったとしたらこんなに長く日本に住むことはなく、スペインに戻った方がいいじゃないですか。
それはもちろんYesであり、Noでもあります。どういうことでしょうか?
183cm以上あることが望ましいですが、そうじゃなくてもプロとしてプレーしている選手はいます。逆に195cmあるけど、ポジショニングはめちゃくちゃ、ゴール前にへばりついて身長はあるけどハイボールに出ていけない。技術も安定していないというGKも多いです。
小学生年代であれば成長のスピードがバラバラですから、身長が足りなくて、、、という声をよく聞きますが、お伝えしたいことは2つ。とにかく回数をこなすようなトレーニングをやめること。理由はそれでは技術向上はしないのと長い時間のトレーニングやたくさんの試合をやっていくことで休みがないことで、体の成長を阻害しているからです。
例えば身長を高くしたいならば夏休みは本当に休みとして1ヶ月休んだらどうでしょうか?今より身長が伸びそうですよね。スペインの育成年代ではシーズンオフの時期があり、1ヶ月から1ヶ月半チーム活動がない時期があります。GKだけではなく、その間に選手たちはしっかり休んで、家族と過ごし、これまでできなかったことをやったりしてリフレッシュして、またシーズンスタートに気持ち新たに望むサイクルにしているんです。
特にGKは持久力が求められるポジションではなく、瞬発力が求められます。 トレーニングの考え方ですが、100%の瞬発力を発揮するには、プレーとプレーの間に完全レストが必要です。そのことを考慮せず、とにかく回数をこなすというトレーニングの考え方を改めないといけないのです。これは日本だけではなく、スペインでも実は起こっていることです。つまりたくさんの回数を行えば技術が向上するという考え方です。正しい技術を習得するには、まずはトレーニングの回数ではなく、正しい知識を選手に入れることが最初になります。
日本人は勤勉で、向上心も強いからこそトレーニングをやりすぎてしまいます。とにかく辛い思いをして、それを乗り越えればよくなるというマインドがかなり強く残っているように見えます。
次回【Ⅰ-後編】どうすれば世界に通用するGKになれるか!「正しい技術を習得する為に」
2021年12月31日(金)
掲載予定です。