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【Ⅱ-後編】

Jリーグ、社会人地域リーグ、大学やユースのGKを指導して

⇛各カテゴリーのGKを指導した、ジョアン流育成術

連載 第4回目は「Jリーグ、社会人地域リーグ、大学やユースのGKを指導して ⇛ 各カテゴリーのGKを指導した、ジョアン流育成術」の後編です。前編は育成とプロとの違いをお伝えしました。後編ではミスに対する考え方やミスをしてしまった後のアクションについてお伝えしていきます。


消しゴムを持っていますか?

長い間日本で活動をしてきて思ったのは、ミスに対する社会的なネガティブな影響があまりに大きい・ミスしたら戦犯のような扱いを受ける、またはそう感じることがあります。

選手たちに聞いてみました。
「日本に消しゴムはないのか?」と。
「子供の頃消しゴム使ったことがないのか?」と。

当然あるわけです。

「その時何をしたのか?」と聞いてみると、間違えたところを消して書き直したと返ってきます。つまり間違えたから直したわけですよね。これは何が言いたいかというと、人生も同じではありませんか?消しゴムを持っていないといけないんです。ミスしたとしても修正し、改善し、続けないといけないのです。

GKの世界もそうです。

私とトレーニングしているときは消しゴムがちゃんと用意されています。まずはキャッチの仕方を教えるわけですが、大事なのはミスしたらどうするかという修正まで教えます。キャッチできなかった、その後もプレーは続くわけで、キャッチできなかったらこぼれたボールにダイビングする、1対1の対応などです。

ハイボールを取りに行って取れなかったから次はもう出ないということが試合でよく見られます。それは修正していませんよね?子供の頃からの教育の影響を受けていると思います。

ミスしてはいけない。ミスしたら怒られる。ミスはいけないものだという発想自体を子供の頃から変えていかないといけないと思いますし、GKが育たない土壌を作ってしまう原因だと思います。

しかもサッカーは団体スポーツであり、一人の間違いはチームの間違いでもあるわけです。

次のアクションを教える

他のGKコーチは ジャンプ ジャンプ ジャンプ セービング のファーストアクションで終わっています。私はそうではなく、そのセービングでキャッチできなかったらどう次のアクションを起こすかも教えていきます。つまりエラーがないのです。

キャッチにいく、こぼしたら次はどうやってアクションを起こすかまで意識させるのです。ところが多くのコーチは「最初のアクションだけに集中」させます。よくあるのが「あー」と言って自分のミスを嘆いたり、天を仰いだりするわけですが、それも習慣になることに意識が向けられているでしょうか?

次回【Ⅲ-前編】最新GKトレーニング「コーチとしての在り方」
2022年1月11日(火)
掲載予定です。



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