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vol.4 GKのトレーニングについて

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GKのトレーニングについて

— あなたの指導哲学、トレーニング方法について教えてもらえますか?
ジョアン氏:

GKコーチを始めた頃の私は、自分のことばかり考えていました。「自分は世界最高のGKコーチだ」と。なぜならその時代、他に誰もGKコーチがいなかったからです。他に真似するコーチもおらず、選手に重点を置いていませんでしたから、前述の通り選手に対して「お前は何もわかっていない」と言っていました。これまで本当に数多くのGKを自分の無知のせいで犠牲にしてきました。まさに私の責任です。そのことに気づいてから自分は変わろうと思い、まずはグローバルトレーニングを取り入れました。メソッドとして全肯定していたわけではないのですが、当時の選手は伸び悩んでおり、とにかく自分のやり方を変えていくこと優先して導入を決めました。

今でこそGKが足を使ってプレーすることが流行になっていますが、18年前のバルセロナではすでにGKの足元のテクニックが重要視されていました。先にもお話した子どもとの一件で3年間指導現場を離れた私は、色々な土地へ旅行し、トレーニングを見学して回りました。他のGKコーチたちがどんなメソッド、システムでトレーニングしているのか見に行ったのです。しかし、そこで行われていたものはこれまで私がやってきたやり方と同じでした。「このままではいけない」と感じました。そこからはまず選手のことを考えるようになりました。

GKがどうやったら技術的に上手くなれるのか考えるようになり、育成には最低でも3年かかることがわかりました。3年後、再び指導を始めた時、もう自分の向かうべき道が明確になりました。手をどのように出さないといけないのか、ペナルティーエリア内でどう動けば良いのか、セービングをどのようにするのか。今ほどその方法が明確だったわけではありませんが、少なくとも自分の目的はどうあるべきかわかっていました。それは選手が学び、向上し、彼の夢に少しでも近づくサポートをすることです。足でのプレーについてですが、ちょうどファン・デル・サールを育てたフランツ・フックがFCバルセロナに来た時期です。当時のファン・デル・サールはアヤックスでプレーしており、足を使ってのプレーは世界一のGKだと言われていました。その頃から周りの指導者に「ジョアン、これからのGKは足でのプレーが絶対に必要だ。だからグローバルトレーニングを取り入れるべきだ」と言われました。最終的には彼らの意見を聞き入れ、足でのトレーニングを始めました。それから2年後、私が教えていたGKは本当に素晴らしいキックが出来るようになりました。

しかし、(手を挙げて)タクシーすら止められなくなったのです(笑)。
つまり、GKの本質を失ってしまったのです。

GKの本質とは、ボールをキャッチすることです。

それによって最初の時期にグローバルトレーニングを行うことは止めました。今も時代の流れで足でのプレーの重要性が言われていますが、では1試合に何回、GKが20メートルの効果的なパスを出す場面がありますか?回数としてはかなり少ないと思います。そうであれば、トレーニングにおいてそこまで多くの時間を足でのプレーに費やさないといけないのでしょうか?プレッシャーをかけられたら大きくクリアをする場面がほとんどであるにも関わらず、トレーニングでやっていることと試合がリンクしていません。もし私の教えているGKが40メートルのパスをピンポイントで出せるとしたら、GKをやらせるのではなく、ミッドフィルダーに転向させるでしょう。GKの最初の目的は、まずボールをキャッチすることです。日本に来てもGKによる足でのプレーのことがよく話されていることに驚きました。GKが足でプレーするには完全にボールを止めた状態が理想です。私が18年前に体験したことが今の日本で繰り返されようとしています。

GKはまずボールを手で止めることが必要なのです。

日本のGKは足でのプレーは、トレーニングの成果もあって良くなっていますが、一方で単純なキャッチミスがとても目につきます。何が本質で、どういう順番で学んでいくべきなのかをしっかりと判断しなければいけません。

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