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vol.3 日本のGKと世界のGK

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日本のGK

— 日本に来ることになったきっかけは?
ジョアン氏:

湘南ベルマーレからオファーを頂く前に2度、GKクリニックで日本を訪れています。その時から日本の全てが気に入っていました。特に、日本のサッカーは意欲、向上心に満ち溢れていると感じています。ゲルニカで働いている時も子どもたちは将来アスレティック・ビルバオでプレーしたい、プロになりたいという向上心を持って意欲的にトレーニングに励んでくれましたが、日本の子どもたちにはそうしたピュアな気持ちが満ち溢れている一方で、指導環境が整っていません。

特に、練習時間の問題は大きいと思いました。2時間の練習時間があって1時間半でその日の目的を達成したにもかかわらず、日本の指導者たちは「残り30分あるからグラウンド何周走れ」と言います。しかし、育成年代においてはその発想自体がマイナスで、選手を酷使することにつながります。

トレーニングは予定した時間を消化するのではなく、設定した目的や狙いを達成するために行なわれるもので、予定していた時間よりも早く目的が達成されればそこで終わればいいのです。そうした指導環境や考え方を改善したいという思いも来日の動機の一つです。

— ただし、そうした習慣、日本人的発想を変えるのは時間を要します。
ジョアン氏:

でも、変えなければいません。
日本ではトレーニングの質、目的よりも時間が重視されていますが、大事なことは肉体的な負荷をかけて強靭な体を作ることではないはずです。日本の指導環境からは屈強なフィジカル能力を持つ選手は出てくるかもしれませんが、技術、戦術的に優れた選手は出てきません。おそらく、バルセロナのシャビは日本では育たなかったでしょうし、今日本に来てもプレーできないと思います。彼は技術とプレービジョンで勝負するタイプの選手ですから、日本のオーバーワークについていくことはできません。確かに彼の試合での走行距離は長く、フィジカル的にも鍛錬されていますが、90分間常に全力疾走しているわけではありません。サッカーにおいて走るべきはボールであり、選手ではありません。

例えば、日本ではフィールドプレーヤーと同じ量の素走りをGKに課す指導者がいますが、GKに必要なことは10キロ、20キロを走り切る体力ではなく、10メートル以下の短距離を相手フォワードよりも速く走れる速筋です。幸運にも湘南のアカデミーコーチたちはそのことを理解し、GKトレーニングについては私に一任してくれています。

— Jリーグや日本代表の試合を見て、今の日本のGKレベルについてどう思いますか?
ジョアン氏:

難しい質問です。シンプルに答えると「指導者のレベルにしかならない」ということです。日本人GKがダメなのかというと、そうではありません。GKのレベルは誰が教えてくれているかで決まってくると思います。

— 改善点がたくさんあるということですか?
ジョアン氏:

全ての面において向上する必要があるでしょう。繰り返しますが、「日本のGKが悪い」と言っているのではありません。逆に、日本から世界的なGKが出てくる可能性があるかと言われたら、「はい」と答えます。なぜなら、トレーニングに打ち込む姿勢や責任感がレベルアップするための大きな助けとなるからです。その能力は逆に世界中のGKに不足していることです。その素晴らしい能力をすでに日本人は兼ね備えているのです。

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